監修:再春館製薬所
間地大輔
大学院で薬学を専攻し、2001年に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、研究に従事。 永遠のテーマである漢方の自己回復力を科学する研究に責任者として取組み、自己回復タンパク(HSP)の化粧品への初めての応用に成功。2012年-2016年では、漢方事業部で薬剤師として従事した後に、老化研究所所長・研究開発部門責任者を経て、2022年より製造管理者。
顔がほてったように赤くなる「赤み」に困ったことはありませんか。肌の赤みは肌荒れが原因で引きおこされることが多いと言われています。顔の赤みはスキンケアで防ぐことが重要ですが、それに加えて生活習慣を見直すことでも改善につながる可能性があるのです。この記事では、顔の赤みの原因、赤みを引きおこす肌トラブルや肌荒れ対策をご紹介します。
肌にかゆみや痛みなどの違和感があるわけでもないのに、顔が赤かったり、赤い色むらが出たりすることがあります。敏感肌の方に多いと言われる肌の赤みはなぜおきるのでしょうか。
肌の赤みの正体は「炎症」と「毛細血管の拡張」です。「炎症」は体の免疫システムによる反応で、細菌やウイルスなどの異物を追い出そうとするときにおこります。「炎症」がおこると、異物を排除するために免疫細胞などが、血流にのって患部に届けられます。そのため、一時的に血液量が増加し、毛細血管が拡張して皮膚の血流量が増えることで、肌が赤く見えるのです。
赤みの原因となる炎症がおこる理由は、肌のバリア機能の低下にあります。バリア機能が低下することで、刺激のある物質に肌の細胞が壊されたり、異物が侵入したりして炎症をおこしてしまうのです。バリア機能が正常に働いていれば炎症をおこす確率も下がり、肌の赤みは軽減できるでしょう。
赤みにつながる肌トラブルのおもな要因は、次のとおりです。
おもな要因 | 状態 |
---|---|
過剰な皮脂 | 肌のバリア機能が低下した状態のときに、皮脂を過剰に分泌することでニキビなどの炎症が発生。炎症の場所を中心に毛細血管が拡張し顔に赤みが広がる。 |
紫外線 | 紫外線を浴びることで皮膚の細胞が傷つき炎症がおきたことから赤みにつながる。 |
乾燥 | 乾燥が進むことでターンオーバーが乱れ、肌のバリア機能が低下することで少しの刺激に対しても過剰反応して、赤みやかゆみなどの症状が出やすくなる。 |
洗顔不足 | 洗顔不足で肌に花粉や大気汚染物質が付着した状態が続くと肌の炎症やかゆみを生じ、肌荒れや赤みの症状が現れることがある。 |
気温差 | 気温差があると、皮膚の温度を下げないよう顔の肌の奥に集中している毛細血管が収縮せずに拡張したままになり、赤みが出現する。 |
敏感肌の方は、肌のバリア機能が低下することで、乾燥が進行したり外的刺激によって肌トラブルをおこしたりして赤みがおきやすい状態になりがちです。顔の赤みをケアするには、肌のバリア機能を整え、肌トラブルをおこしにくいすこやかな肌を育てる必要があります。
普通ならば、炎症が治まるとともに肌の毛細血管は収縮して赤みはおさまっていきます。しかし、敏感肌の状態が続き、炎症などの肌トラブルをくり返したことで、毛細血管が収縮せずに血流量の多い状態が続いてしまい、赤みがおこりやすくなってしまうのです。
赤みの原因の一つとして、マスクによる肌荒れがあげられます。どういった原因で赤みにつながるのでしょうか。
マスクの中は、高温多湿になりがちな環境です。一見、肌が保湿されている良い状態のように思えますが、マスクを外すとマスク内に溜まっていた水分とともに肌表面の水分まで一気に蒸発して乾燥が進みます。さらにマスクの着脱を繰り返すことで摩擦が生じ、肌のバリア機能が低下して赤みやかゆみにつながってしまうのです。
また、肌の乾燥はニキビの発症にも影響します。肌は乾燥すると、皮脂を過剰分泌して水分不足を補おうとします。これによりニキビの原因となる「アクネ菌」が増殖してしまい、ニキビができて肌が赤みを帯びてしまうのです。
「マスク肌荒れ」を防ぐためにはマスクの素材選びも大切で、蒸れや乾燥を防ぐ通気性の高いマスクがおすすめです。また、柔らかいコットンのマスクは肌触りが良く摩擦の刺激も少ないでしょう。ただ、肌に良いマスクを選んだとしても摩擦は生じてしまいます。マスクが触れる部分はクリームを重ね塗りするなど保湿を意識したケアをすることで摩擦を軽減できるでしょう。
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肌荒れが原因でおきた赤みには、スキンケアの見直しと生活習慣の改善も効果的です。
今おこなっているスキンケアを一度振り返ってみてください。化粧品や使い方が肌に負担を与えたり刺激を与えたりしていませんか?
肌がダメージを受けているときは刺激の少ない化粧品を選び、スキンケアの際に摩擦などで刺激しないよう心がけてください。
睡眠不足や栄養不足、ストレスなどは、ターンオーバーの乱れにつながり、肌のバリア機能の低下を招きます。肌に良い生活習慣を意識することが大切です。
意識したい習慣 | 肌に良い習慣 |
---|---|
睡眠 | 早寝早起きを心がけ、十分な睡眠時間を確保する。睡眠の質を高めるため、就寝30分前にはスマートフォンやパソコン、テレビの視聴を控える。 |
入浴 | お風呂の温度は、38〜40度とぬるめに設定。長時間湯船に浸かると肌が乾燥しやすくなるため、入浴時間は15〜20分程度を目安にする。就寝1〜2時間前までに入浴すると、寝付きが良くなる。 |
食事 | 栄養バランスの良い食事を心がけ、1日3食しっかり食べる。緑黄色野菜、魚・卵などのタンパク質を積極的に摂る。 |
運動 | 1回30分程度の軽い運動を週に2〜3回取り入れる。なかなか時間が取れない場合は、なるべく階段を使う、1駅分歩くなど普段の生活で運動量を増やす。 |
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は血流を促し肌に栄養を届きやすくするので、ストレス発散も兼ねて取り入れてみるのも効果的です。
赤み対策を意識したケアはどのようにしたら良いのでしょうか?効果的なスキンケアについてまとめました。
赤みが出ているときは、肌のバリア機能が低下しているため刺激に対して非常に敏感になっています。化粧品はできるだけ低刺激のものを少量から試してみてください。また、抗炎症作用のある成分が配合された化粧水もありますので、選ぶ場合にはしっかり吟味されることをおすすめします。
「洗顔」のポイントは「やさしく洗う」ことです。洗うときにこすりすぎたり摩擦を生じさせたりしてしまうと、肌のバリア機能を低下させてしまいます。肌が敏感になり赤みが気になるときは、低刺激性の洗顔料とぬるま湯を使って、あらかじめしっかり泡立ててから泡で包むようにやさしく洗うことが大切です。また、拭き取るときのタオルも柔らかい物を使って肌への刺激を減らすことを忘れずに。
洗顔後は乾燥しやすい状態になっています。洗顔がすんだら、肌の水分が乾かないうちに急いで化粧水で水分を補うなどの保湿を心がけてください。化粧水のあとは、美容液などで栄養を補給し、保湿力の高いクリームを塗ってフタをします。
なお、化粧水や美容液、クリームなどを塗るときには、摩擦を避けて手でゆっくりとなじませることを意識してください。ハンドプレスでやさしくおさえこみます。
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外出する際は、日焼け止めをしっかりと塗って、紫外線によるダメージから肌を保護することが大切です。
紫外線は春や夏だけでなく一年中降りそそいでいます。一年を通して日焼け止めを塗ることを忘れず、室内にいるときも窓から紫外線が入ってきますので日焼け止めを塗るようにしてください。
なお、肌が赤くなっているときは、低刺激性の日焼け止めを選ぶとともに、日焼け止めを塗る前にはしっかりと保湿剤を塗って肌を護ってください。また、外出時には、サングラス・帽子・日傘・長袖の衣服を身に着けるなどの日焼け対策も忘れずに。
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毛細血管が柔軟性を失うと、赤みにつながりやすくなります。通常は炎症が治まるとともに毛細血管が収縮して赤みも引きますが、柔軟性を失って血管が硬くなると血流量の多い状態が続いてしまうためです。
血管が柔軟性を失う要因は、肌の糖化が挙げられます。糖化とは、体内で余った糖がタンパク質を結合して、細胞にダメージを与える現象です。血管の組織が糖化すると壁に炎症がおきやすくなり、血管自体が硬化してしまいます。
糖化を防ぐためには、炭水化物や甘いものを控えて糖の摂り過ぎを避けることが有効です。また、血糖値を急激に上げないようにGI値(血糖値の上昇割合)が低い食品を選ぶことも心がけてみてください。
スキンケア以外にも赤み対策として効果が期待できるものをまとめてみました。
睡眠不足、偏った食事や無理なダイエットなどによる栄養不足、ストレスなどの生活習慣の乱れは、肌のバリア機能の低下を招きます。バリア機能が低下すると、肌のターンオーバーが乱れてしまい肌に古い角質が残って角層部分が厚くなり、くすみやざらつくことで肌の乾燥につながります。
肌の材料となるタンパク質や、便秘を防ぐ食物繊維、ターンオーバーの働きを助けるビタミンやミネラルを補給できる食事を心がけてください。
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また、成長ホルモンを十分に分泌させるために質の良い睡眠をとることも大切です。ぐっすりと眠るためにも、入浴は38〜40度のぬるま湯で寝る1〜2時間前までに済ませておくことや、テレビやスマートフォンは寝る30分前まででやめておくなど、質の良い睡眠を取るための工夫をしてみてください。
部屋の環境を整えて肌のトラブルの原因につながるものを取り除くことも大切です。
部屋をこまめに掃除して、ダニやカビ、ホコリなどを取り除きましょう。枕カバーやシーツはこまめに洗濯し、清潔な状態を保つようにしてください。
肌のバリア機能が低下しているときは、普段反応しないものにも刺激を感じ、赤みがおこることがあります。
たとえば、花粉やホコリ、汗、化粧品など、普段は肌に触れても大丈夫でもバリア機能が低下しているときには反応してしまうことがあります。これらに刺激を感じたときには、花粉やホコリを避けるため室内でもマスクを着用する、汗をかいたときはこまめに拭き取る、化粧品は刺激の少ないものに切り替えるなど、刺激する物質を避けるようにしてください。
赤みが気になるときは、入浴やシャワーの温度を39度以下と少しぬるめに設定しましょう。熱いお湯は皮脂を奪うため肌の乾燥が進んでしまいます。長風呂も皮脂を失って乾燥しやすくなりますので、赤みのあるときの入浴は短めに済ませましょう。
暖房を使う冬場は部屋の湿度が低くなりがちです。部屋が乾燥すれば肌の乾燥も進んでしまいます。加湿器などを使って部屋の湿度は60%前後に保ちましょう。旅行や出張で宿泊するときにはホテルの部屋も乾燥していることが多いです。加湿器があれば湿度を保てますが、ない場合は、濡れたタオルを干したりバスタブにお湯をはってドアを開けたりしておくなどの加湿対策が効果的です。
栄養バランスが整った食事もすこやかな肌をつくるうえでは大切です。特にビタミンB2は、糖質・脂質・タンパク質がエネルギーに変わるときのサポートや酸化ストレスからの保護などに効果があると言われているので積極的に摂取するように心がけてください。
ビタミンB2が含まれるおもな食品 | |
---|---|
動物性 食品 |
魚、レバー、牛乳・乳製品、卵 など |
植物性 食品 |
きのこ、納豆、焼き海苔、唐辛子、アーモンド、ブロッコリー、モロヘイヤ など |
一方で脂質や糖質、香辛料などの刺激物は皮脂の過剰分泌を招き、赤ら顔を悪化させる原因となってしまいますので注意が必要です。
肌の赤みは、バリア機能が低下して乾燥や炎症などがおこっているときに生じます。バリア機能は生活習慣を整え、正しくスキンケアすることで正常な状態を保つことが可能です。日々のケアを見直し、赤みのないすこやかな肌を目指しましょう。
■ドモホルンリンクルのスキンケアアイテム
監修:再春館製薬所
間地大輔
大学院で薬学を専攻し、2001年に入社。「ドモホルンリンクル」の商品開発、研究に従事。 永遠のテーマである漢方の自己回復力を科学する研究に責任者として取組み、自己回復タンパク(HSP)の化粧品への初めての応用に成功。2012年-2016年では、漢方事業部で薬剤師として従事した後に、老化研究所所長・研究開発部門責任者を経て、2022年より製造管理者。
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